外科医10年目からの海外臨床留学

グータラなのに志だけは高い小児外科医の海外臨床留学の記録です。主に気合いと乗りと運で今まで生きてきてます。臨床留学先としてのオーストラリアの紹介。英語の勉強法や影響を受けた本などの紹介もしていく予定です。好きな言葉は「大器晩成」。2児の父です。emailはtkghiramatsu@gmail.comです。

白衣を着ないオーストラリアの医師たち 理想の医師-患者関係を考える

オーストラリアで臨床医として働き始めて2年半が経ちました。今年度はPaediatric surgical oncology fellowとして、今まで通りの小児一般外科疾患に加えて小児固形腫瘍の手術を中心に臨床を行なっています。日本ではなかなか経験できないよいうな小児腫瘍の症例が毎週のように経験できて、いい感じに日々過ごしております。

 

コミュニケーションに関しては、流石に日々の診療に直接関連する部分ではほぼ支障ありませんが、いまだにネイティブ同士の世間話についていくのはハードです。まあ、前よりはだいぶ参加できるようになってきたかなと思う今日この頃ですけど。それと、患者さんや、その家族(両親)とも、世間話をして打ち解けたり、と言った感じで診療をスムーズに進めていくこともだんだん増えてきたかな、と、感じてます。

 

白衣を着ないオーストラリア人

そういえば、最近はもっぱら当たり前になりましたが、オーストラリアの病院では医師は白衣を着ません。男性だと、シャツにチノパンか、たまにジーンズにポロシャツ、というスタイルでも意外とOKです。女性は基本「普通の私服」で感じです。

 

今回も完全に個人的な感想ですが、このオーストラリアの「白衣なし」スタイル、嫌いじゃないです。むしろ、良好な医師患者関係を築く上で、僕はこれはプラスに働いているのでは、と思っています。

 

実際の回診はこんな感じです。

 

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回診中に隠し撮り。ご覧のように白衣は着ない。男子の基本スタイルはシャツにパンツだが、ジーンズもok



 

 

 

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回診後はルーティーンでコーヒー。学生さんと。みんなカジュアル。

 

「呼び方」と「コスチューム」が医師患者関係い及ぼす影響

 

医師の服装とともにオーストラリアでの診療スタイルで日本との大きく違うのは、

 

医師と患者(その家族)同士がファーストネームで呼び合っているということです。

 

いつも通り、なんのエビデンスもありません。単なる個人的経験に基づいた意見です。

 

オーストラリアで医師として働いていて強く感じるのは、医師と患者(もしくは患者の家族)との関係が完全に対等である(ことが多い)ということです。僕はこれは非常に良いことだと思います。

 

白い巨塔」の時代のような、「お医者様」でもなければ、必要以上に患者さんに迎合した「患者様」でもない、対等な関係です。

 

特に小児医療では、この対等な関係「partnership」がとても重要なんじゃないかと思います。

 

 というのも、病気の子供たちを見るとき、医者は「医療のスペシャリスト」としてそのケアに関わりますが、このプロセスは、「その患者さんのスペシャリスト」である両親との共同作業なのです。

 

 特に自分で自分の体調を表現するのが難しい小児では、母親の「なんかいつもと違う」といった感覚的なものが診療の過程で重要なポイントになるとは珍しくありません。

 

 もちろん僕らは医者として、その子がどれくらい具合が悪いのか(入院が必要かどうか)判断するために患者さんをなるべく客観的に評価するわけですが、同時に、親の直感が、時に子供の命を救うことは珍しくありません。

 

 僕は日本にいた時以上に、オーストラリアでは患者さん(の親)との距離を近く感じます。それはすごくいいことだと思います。

 

 このような対等な関係になりやすい背景として、まずは敬語があまりない英語と言う言語の特性があると思います。

 

 それに加えて、表題にも書いたように、僕ら医師が普段白衣を着ていないから、というのも大きな理由ではないかな、と日々感じます。

 

 なんか白衣を着ると、シャキッとするし、「自分、医者です」みたいな、自覚をより持つ、という意味で、日本にいるときはそれはそれでメリットも感じてました。

 

 が、オーストラリアで白衣なしの診療スタイルに慣れてくると、これはこれで良いな、と感じてくるわけです。

 

 で、特に医師患者関係の構築において、これが僕には良い感じだな、と思ってます。

 

 

というわけで、根拠はないですが、白衣を着ないで、ファーストネームで呼び合うオーストラリアスタイルの紹介でした。

 

 

 

 

オーストラリアで医師として働く方法② 各論1~ 短期(最大3,4年)だけ、つまり臨床留学、その後は日本に帰る予定の場合

短期の臨床留学に必要な条件とは

 

Short term training pathwayでの臨床留学

前回は、総論的なお話だったので、今回は各論、ということで、Short term training pathwayについて少し詳しく書きます。

 

前回のおさらいですが、このPathwayは、

 

日本で専門医を取っていて(専門分野のトレーニングを終えている)、オーストラリアへの短期間の臨床留学を考えている人

 

が対象になります。

 

最初にお断りを入れさせてもらいますが、最終的にはご本人でAHPRAウェブサイトを確かめていただくことを強く勧めします。

 

前触れなくルールが変わることがあるのと、ほんとに細かいところや、マニアックな例外などは今回の説明では省いていますので。

 

3つの機関

まずは基礎知識として、以下の組織が別々に存在していることをなんとなくだけ知っておいてください。これ、僕は最初の頃チンプンカンプンで、理解するのに苦労しました。

 

1. AHPRA

   医師に限らず、医療関係者(看護師、歯科医、理学療法士など)のregistrationを統括している組織 

 

2. AMC (Australian Medical Council)

  医師のregistration, 病院のregulationなどを行う組織. AHPRAはhealth practitioner全般を横断的に管轄しているのに対して、AMCは医師と病院の管理。

 

3. college

   これは日本で言うところの学会にあたるのですが、もうちょっと実際のregistrationに対して影響力を持っているかもしれません。なんでもRoyal。そう、オーストラリアの国家元首は今でもエリザベス女王なのです。

 外科系は RACS (Royal Australian College of Surgeons),

 GPはRACGP、てな具合に、各専門分野別に「College」があります。

 (オーストラリアの国家元首はイギリスのエリザベス女王なので、とりあえず何かと「Royal」がつきます。)

 オーストラリアで独立した医師として医療行為を行うためには、「fellow」(またはsenior medical officer)になる必要があり、この「fellow」になるために、各専門分野担当のcollegeが設定するトレーニングを修了し、最後にfellowship examに合格する必要があります。例えば、「外科学会」に相当するRoyal Australian College of Surgeonsの定める正式な(accredited)トレーニングを終え、フェローシップ試験に合格すると、晴れて[FRACS(Fellow of Royal Australian College of Surgeons)]という肩書きを持ち、独立した外科医になります。


この一連のトレーニングシステムを含む、各専門分野のregulationを担っているのがcollegeです。

 

  

Short term training pathwayとは

正式には、'Short term training in a medical specialty pathway'です。

内容はこのままの意味です。つまり「専門分野で短期間トレーニングをしにくる人のためのpathway」です。

 

は、僕はこれで来ています。

 

そして、おそらく、日本からオーストラリアでの「臨床留学」を考えた場合に一番現実的なアプローチがこれだと思います。

 

このpathwayでの医師登録は、写真にも記載されている通り、

 

'Limited registration for postgraduate training or supervised practice'

 

という名目です。

 

このregistrationでの医療行為は、

 

1 認められた病院での

2  指導医の監督下での医療行為

 

に限られます。

 

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写真に載せた僕のregistrationは、AHPRAのhomepageで検索すれば誰でもチェックできます。この証書の2枚目には、僕の専門分野と、実際に医療行為を行うことが許される病院の名前が列記されています。ここに書かれた制限内での医療行為が許されるということです。

 

 

そして最大3,4年間という上限があります(3年か4年か、については色々ややこしいので後述します)。

 

このpathwayでregistrationを経て医療行為を行うために必要な条件は以下の主に3つです。主に、と書いたのは、他にも細かい条件があるからですが、それらは基本的にあまり気にしなくていいと思います(たとえば犯罪歴の有無、とかなので、、)。

 

1. オーストラリア以外の国で専門分野のトレーニングを終えていること。

2. オーストラリアでのポジションを確保していること

3. 英語の基準をクリアしていること

 

です。

 

 

1. 専門分野のトレーニングを終えている

簡単に言えば、日本で専門医を取ったかどうか、ということになります。

 

2. ポジションの確保

はい、結局これが肝です。これについては、別の回に書きます。結局、コネをなんとか作る。ってこと

 

3. 英語の基準

英語の基準については、いくつかのテストが認められていて、以下のいずれかをクリアする必要があります。

 

1. IELTS

  overallで7以上。かつ各カテゴリー全て7以上

  これを1回のテストでクリアするか、

  半年以内に受けた2回のテストの合わせ技でクリアする。

  2回の合わせ技の場合でも、いずれかのカテゴリーが6.5未満だとアウト

 

2. OET

      各カテゴリーで評価B以上。

  これを1回のテストでクリアするか、

  半年以内に受けた2回のテストの合わせ技でクリアする。

  2回の合わせ技の場合でも、いずれかのカテゴリーがC未満だとアウト

 

3. PTE academic

4. TOEFL iBT

5. NZREX  - New Zealandのテストらしい

6. PALB  - 英国のテストらしい

 

すんません、3以降は詳細省かせてもらいます。

 

各詳細は

AHPRAウェブサイト このページの 'English Language Skills Registration Standrd' という項目を参照してください。

 

ややこしいところを一応解説しておきます

前述した通り、このpathwayでのregistrationには期間の上限があります。

これ、AHPRAには最大4年、と書いてあります。

 

が、

 

実際には3年が上限と考えておいた方が無難です。

 

これややこしくて僕も最初はよくわからなかったのですが、このややこしさは、先ほど説明したように、複数の機関がこのregistrationの規制に関わっていることに起因します。

 

結局のところ、このPathwayで来るための第一の条件である「自国で専門分野のトレーニングを終えている」という部分に関して、そのトレーニングがちゃんとこのpathwayに値する内容なのかどうか、という評価をするのが「College」で、collegeが「この人、自国でちゃんとしたトレーニング受けたからokです」と言って初めて、AHPRAが「それじゃ、limited registration あげるね」ということになります。

 

で、collegeの方からもらえる「ok」が、更新2回まで、つまり3年間が上限なようなのです。

 

ま、あまり深く考えなくてもいいです。

 

 

まとめ

 

ということでまとめると、

 

1. Short term training pathwayで、limited registrationを得られる。

2. limited registrationは最大3年まで、オーストラリアで指定の病院で指定の専門分野

    に限って医療が可能

3. そのために、自国での専門医+英語技能試験パス+受け入れてくれるポジション が 

 必要

 

 

という感じです。

 

この辺ややこしいので、わからないことがあればメールで僕に聞いてもらってもいいです。

 

とりあえず今回はここまで。

 

次回は、「もっと長くオーストラリアで医師として働きたい」という人はどうすれば良いか、ということについて説明します。

 

では。

       
 

 

 

 

 

オーストラリアで医師として働く方法①  総論 ~意外とややこしい?医師登録までの道

オーストラリアで医師として働くには 

 

たまーにしか更新してないこのブログですが、ありがたいことに、オーストラリアでの臨床に興味を持った日本の医師の方々から問い合わせをいただくことが増えてきました。

 

こんな見ず知らずの僕にメールで質問をしてきてくれる先生方の行動力や本気度に大変感謝です。僕としては、知りうる限りのことをお伝えさせていただいて、ぜひ、その先生方の力に少しでもなれれば、と思い、対応させていただいております。 

 

何人かの先生とやりとりさせていただいているうちに、みなさんが共通して持ってらっしゃる疑問について答える意味で、

 

「オーストラリア臨床留学のために知っておくべき基本情報」

 

について一度まとめておくと良いかな、と思うようになりました。web検索すると、大まかな規則を説明しているページはちらほらあるのですが、その情報から一歩進んで、

 

で、どこを目指せばいいの?

 

というところがはっきり書かれているページが少なかったので、

 

今回は、 超実践的な情報 になるように心がけて情報提供していきます。

 

 

兎にも角にも「AHPRA registration」!!!

まずは、オーストラリアで臨床医として働くための第1歩である「AHPRA registration」。日本でいうところの「医籍登録」みたいなものです。アメリカだと「ECFMG certificate」に相当するのかな。

 

オーストラリアで医学部を卒業した場合

ちなみに、オーストラリアは日本やアメリカと違って、「国家試験」はありません。

各大学の医学部卒業をもって(学位つまりBachelor of Medicine)、医師になる資格を得るという感じです。

 

で、そのあと1年間のインターンを経て正式に医師として登録されます。

 

オーストラリア以外の医学部を卒業した場合

で、僕らのような、オーストラリア以外の国で医学部を卒業した人たち(IMGs: International Medical Graduates)のために用意された'pathway'というものが別にあり、これが複数あるため厄介なのです。

 

 

ということで、僕自身のモチベーション維持のために、これから数回に分けて書いていく内容を先に宣言しておきます!

 

 

「オーストラリアで医師として働く方法」

1. 総論 ~ オーストラリアで医師として働くためには複数の"pathway"があるという話

2.  短期(最大3,4年)だけ、つまり臨床留学、その後は日本に帰る予定の場合

3. もっと長く(つまり5年以上)いたい場合

4. 今からできることリスト

 

これから数回の記事を通して、オーストラリアで医師として働くことを考えている方々に、「大まかな地図」を手にしていただき、「今やるべきこと」をクリアにしていただけたらいいなと思います。

 

 

ということで、総論、と題した今回は、オーストラリアで医師となるためにはどんな過程を通る必要があるか、という話です。

 

今回で、ファクトベースでまずオーストラリアのルールを理解してもらった上で、

 

次回以降は

 

- 短期の臨床留学を目的としているのか、

- それともできるだけ長くオーストラリアにいるつもりなのか、

- 専門分野は何か

 

などなど、現状や将来のプランによって変わってくる可能性があるアプローチ方法についてそれぞれ別個に書いていこうと思います。

 

で、④では、んで、結局どうやってポジションを見つけるか。という話です。詰まるところコネを作るしかないわけで、コネについて、僕の個人的経験と独断に基づいて幾つかの方法を考察しました。

 

オーストラリア医師登録総論 

 

'pathway'とはなんぞや?

何か新しいことを始めるときには、まずはルールを知ることから。これ、後々後悔したりしないために重要です。

 

オーストラリアにおける医師登録を管轄している「AHPRA」という期間が、この「ルール」を決めています。下記のリンクに書いてあることが全てです。

 

 

AHPRAウェブサイト

外国人医師がオーストラリアで医師登録するための方法が書いてあります。

https://www.medicalboard.gov.au/Registration/International-Medical-Graduates.aspx

 

このウェブサイトに書いてあることを隅から隅まで読めば、ルールはわかりますし、それぞれの立場で、目的に合わせて、どの’pathway’を通れば良いのかを選んでいくことになります。

 

とは言ってもいきなりこのページだけ読んでもややこしくてわかりにくかったりするので、噛み砕いて解説してみたいと思います。。。。。

 

と思ったら、メルボルンで臨床をされていた先生の、とーーーってもわかりやすく書いてあるページを見つけましたので、以下にシェアさせていただきます。

 

mmbiostats.com

 なんてconprehensiveでわかりやすい解説なのでしょう。これ以上に分かりやすい解説はない、とは思うのですが、

 

僕は「ざっくり」、これから留学を考えている方々の目線から見て、このシステムをどう捉えたら良いか、ということを説明しようと思います。

 

結局どうすれば良いの?

 

ざっくり言ってしまうと、

 

日本での臨床経験(専門医の有無)

 

 

将来のプラン(移住も視野に入れているのか、短期留学なのか)

 

 という二つの問いに対応して、通るべきPathwayが決まってくると言っていいと思います。

 

ということで、今回のまとめの図↓

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まとめの図なのに分かりにくくてごめんなさい!

 

 

この図のように、

 

専門医の有無でまず道が分かれます。

 

次回以降に、右の二つのPathwayについては詳しく解説していきます。

なので、最後にStandard pathway(専門医を持っていない場合)について補足します。

 

専門医を持っていない場合は、

 

AMC MCQ

 

という試験 (いわゆる国家試験的な)に受かってStandard PathwayでGeneral registrationを目指していくことになります。

 

AMC MCQに合格して、働き先が見つかれば、この時点でオーストラリアでの医療行為ができます。

 

AMC MCQ合格から、General registrationの間は、大体1、2年のプロセスで、

診療経験を「supervised practice」という形で積みながら、その前後で

 

AMC Clinical assessment

 

という試験(OSCEとか、USMLE STEP2CS的なやつ)に合格する必要があります。

 

このAMCの二つの試験については、また機会がある時に書きたいと思います。

(実は今こっそり受験準備中です。)

 

全部書くとややこしくなるので図には盛り込みませんでしたが、

 

「とにかくオーストラリアに移住する!もしくはそこまで行かなくても、なるべく長くいたい!」

 

という人には、専門医を持っていても、実はStandard Pathwayが近道になる場合もあります。

 

なぜなら、

 

General Registration = Permanent Regidency (永住権)

 

だからです。

 

本シリーズの③で詳しく話そうと思いますが、GP、またはspecialistとしてオーストラリアに腰を据えていこうと考えると、それなりに長い道のりです。早い段階で永住権を取っておくことは、医療保険(Medicare)や、public schoolの学費など、ビジネスビザでは補助されない部分がカバーされるので、経済的もかなりかわってくるとおもいます。毎年毎年のビザ更新でもお金が吸い取られます(泣)。

 

ま、その辺はまた今度詳しく。

 

ということで、また来週!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あけましておめでとうございます 小児腫瘍外科医を目指します


2021年 元旦

 

さて、前回の記事からあっという間に4ヶ月以上の時が経ち、そしてついに年が明けましたね。 

 

と言うことで、今年もよろしくお願いいたします。

 

こんなに細々と(気まぐれで)やっているブログですが、昨年はこのブログからもいくつかのありがたい出逢いがありました。

 

海外留学を目指しているような、向上心、好奇心旺盛で、前向きな方々が読んでくださることが多いようなので、このブログを通じで出会う方々も、皆さん総じて、そのようなポジティブな方々でした。

 

今年はもう少し頻繁に、このブログを更新していきたいと思います。

読んでくださる方に少しでも役に立てば幸いです。

 

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今年の目標

勝手に今年の目標を発表します!

 

今年の目標は、臨床フェロー3年目として、新たに「Pediatric Surgical Oncology Fellow」というポジションで小児腫瘍を集中的に経験し、「小児腫瘍外科医」としてのキャリアの基礎を築く、ということです。

 

そして、もう一つ大きな目標は「USMLE合格」です。

 

Pediatric Surgical Oncology Fellow ~小児腫瘍外科医への道~

 

今年は自分にとってはシドニー小児病院で3年目となります。今年は、今までの2年間のような「Pediatric General Surgery」(つまり小児外科全般)よりも、少し範囲を絞って、「Pediatric Surgical Oncology」に重点を置いたトレーニングを積むポジションで1年間精進します。

 

と言っても、今まで通り、General Surgeryの症例も多くあり、またオンコールも今まで通りあります。違いは、小児腫瘍の症例にほぼ全て関わることができる(術前、手術、術後)というところです。

 

今、この Pediatric Surgical Oncology Fellowとして今年1年間精進することに、めちゃくちゃわくわくしています。

 

何しろ症例は多いし、何より、MentorとなるDr. Jは、僕が2年間シドニーで働いてきて一緒に仕事をしてきた多くの指導医たちの中でも、群を抜いて手術が上手で、知識、経験ともにスーパー。しかもまだ比較的若い(多分47、8歳くらい)。

 

40歳からのUSMLE

 

USMLEを避けてオーストラリアに来たはずだったのですが、小児腫瘍外科を突きつめようと昨年決意し、上司と相談した結果、今年1年間Oncology fellowをやった後、さらに経験を積むためにアメリカでPediatric Surgical Oncology Fellowをやるのが良い、という話になり、昨年半ばよりこっそり勉強を開始しました。

 

40歳過ぎてから基礎医学をやり直すのは結構しんどいです。なかなか進みません。

なので、とにかく試験を申し込む(4月受験予定)。

それとこの際、なるべく多くの人に向かって宣言して、やらざるを得ない状況を作って自分を奮い立たせようと思い、ここに書きました。

 

とにかく今年の8月くらいまでにSTEP1,STEP2 CK をpassする予定で頑張ります。

Step2 CS に関しては、コロナの状況下で現在試験が開催されていないので、タイミングに関しては今後の状況次第ですかね。(レジデンシーのマッチング応募へは、OETという英語試験で代替可能となっていますが、フェローでの渡米に関してはこの辺が淵王命です。ま、とりあえずSTEP1とCKに集中ですね、今は)。

 

今年もよろしくお願いします

ということで、今年もよろしくお願いします。

 

Pediatric Surgical Oncology Fellowのポジション獲得までの経緯について、近いうちにまた書きたいと思います。ここでもなかなか「あれ、自分、引き寄せちゃったんじゃない?」的な偶然と、いろいろな人のサポートのおかげで実現できたという経緯がありました。

 

ではみなさん、楽しいお正月を。

 

 

上司との信頼関係 - 日本とオーストラリアの違い

1ヶ月ほど前に、心臓外科の先生のブログに記事を書いたり、あとこのブログをFBにアップしたことで、多くの方に読んでいただくことができて、多くのfeedbackをもらいました。

 

で、気づいたら1ヶ月以上ブログ更新してなかったので、そろそろ書こうかなと。

 

今日は、シドニーでの臨床2年目も半分が過ぎて、最近感じたこと、特に上司との信頼関係について書いてみたいと思います。

 

 

上司との信頼関係 

 

去年に比べて、上司からの信頼が確実に増している気がする今日この頃です。

ま、まだまだなんですけどね。

 

こちらでは3ヶ月に1回、同じチームの上司3名から定期的にフィードバックをもらう機会があります。

 

先日そのフィードバックの際にちょいと褒められたので、調子に乗って久しぶりにブログ書いてます。

 

僕自身の実感と同様、上司たちも、僕が去年に比べてだいぶ仕事に慣れてきて、上司たちも安心して任せられるようになってきた。といった趣旨のことを言われ、「むふふ」な気分になったわけです。

 

 この1年半で僕自身の何が変わったのか

 

もちろん、こっちにきてからの臨床経験、病院自体への慣れ、英語の上達、など、様々な要素があるのですが、上司たちからみて、僕が以前より「信頼できる」ようになった要素で一番大きいのは、「思ったことを口にするようになった」ことだと思います。

 

ま、大きく言えば、英語も含めた「コミュニケーション能力の向上」ということにはなると思うのですが、「向上」「上達」というより、「変わった」むしろ「変えた」ことが大きいのだと思います。

 

「信頼できる」部下とは

  

上司として、部下の能力は自分の生活質に影響します。部下がある程度自立していて、手技や判断に関して任せられる範囲が大きければ、上司は安心して夜寝ることができるわけです。

 

でも、部下の「できる、できない」以上に大事なことは、部下の「何ができて何ができないか」「何をわかっていて何をわかっていないか」を上司が把握していることなのだと思います。

 

別の言い方をすれば、上司にとって、自分の部下が「わからないことや判断に困ることがあれば、自分で抱え込まずにちゃんと相談」してくれれば、安心なわけです。

 

「ほう・れん・そう」ていう言葉は日本にもあり、基本的には同じなのですが、

 

日本と違うなと感じたところは、「とにかく思ったことを口にして、上司と多くコミュニケーションを取るのが大事」ということです。

 

この視点から自分を振り返ると、この1年半でだいぶ、「信頼できる部下」になってきたのだと思います。

 

去年、特に仕事を始めたばかりの頃は、「日本での習慣+言葉の壁」により、あまり自分の意見を積極的に言わなかったり、上司から言われたことをただ「sure」と言ってやっていたことが多かったように思います。

 

今になってわかりますが、これって、上司からすると「こいつ何考えてるかわからないし、そもそもわかってるのかわかってないのかが全然わからん」ということで、ま、結局のところ信頼されるまでにはなかなか至ってなかったんだと思います。

 

そのことは去年の早い段階から部長のDr.Thomasからも繰り返し言われていて、「you are too polite, try to be rude, as Austlarian people are」(かしこまりすぎてるから、もっとオージーみたいにくだけた感じでやりなよ)といつも言われてました。

 

「polite」という、マイルドな言葉を使ってくれてましたが、要は、「お前何考えてるかわかんないからキミ悪いんだよ」って言われてたのと同じだと今は思ってます。

 

ま、そうは言っても、その場で質問(議論)するって結構ハードル高くて、反射的に黙ってしまう癖もあったし、質問しようにも、英語が理解できていないだけなのか、内容が医学的に理解できてないのか、あるいは内容に納得がいってないのか、それすらよくわかんないと、質問するタイミングを逃したりしてきたわけです。

 

ま、今でもまだまだ、なところも多いんですがね。

 

オーストラリア人にとっての「無礼」とは

 

要は、オーストラリア人、というかWestern culture にとって、僕らAsian cultureの、「本音と建前精神」は、むしろ「礼に反する」場合があるのです。

 

こっちの人たちは、とにかく思ったことは口に出します。相手がたとえ上司でも。

 

もちろん最低限の「本音と建前」や「言い方」はあるようですが、上司が指示したことに納得いかない場合はその場でバシバシ質問しまくります。

 

最初の頃は、小児外科経験のほとんどない、卒後3年目のレジデントから「なんでこれをしないといけないんだ」「もっとこうやっては何故ダメなんだ」などと問い詰められると、「なんだよこいつ、つべこべ言わずに言ったことやってくれよ」と思っていました。

 

でも、今は「聞いてくれてありがと」てなかんじです。そもそもこう言った疑問に答えて、教育してくのも上司の重要な役割です。しかも、後輩たちが正しくて、それに気づかせてくれることもあるのです。

 

上の立場としてResidentと仕事をしているとわかりますが、すんなり「わかった」といって、任せていたら後になって、全然わかってなくて期待していたことと全く違うことをやっていた、ということはたまにあります。そんな時、「わかんないならわかんないってその時言ってくれよ」って思いますが、去年の僕は上司からこういう風に思われることが多かったのだな、と気付かされます。

 

先日のフィードバックの際もある上司は、「思っていることがあるのに何も言わない方が無礼だから、色々思うことを言ってくれるようになって感謝してる」

と言ってました。 

 

よく考えると、医療現場においては「無礼」「無礼じゃない」というより、思ったことを言わない方が「危険」ですよね、、。

 

なので、今はバシバシ自分の意見を言ってくるレジデントを「無礼」だとは思いません。

 

そんなこともあり、僕自身も意識的に「上司にバシバシ質問する」ようにしています。

 あと、聞かれてもいないのに日本で経験した症例について話したりとか。

 

そういった「日々のコミュニケーションの積み重ね」が、「上司からの信頼」に結びついていくのだなと、感じている今日この頃です。

 

最強のレジデントたち

 

ま、バシバシのレジデントもいる中で、ここオーストラリアならではの「最強の部下」たちもたくさんいます。

 

これは完全に僕の個人的な目線からの「最強」なのですが、それは

「アジア人の本音と建前を理解した上でWesternのバシバシコミュニケーションも行う」ことのできる奴らです。

 

 

オーストラリアならでは、と思うのですが、周りを見渡すと、アジア系のルーツを持つオーストラリア人(オーストラリアで生まれ育った人たち)が本当にたくさんいます。

 

彼らの多くは、両親の世代でオーストラリアに移住してきているので、家の中ではアジア文化で過ごしていたりします。なので、中には僕が感じているような文化の違いによるジレンマを理解してくれる奴らもいるのです。

 

 例えば、今卒後3年目のEdyは、大学時代にオーストラリアに渡ってきた香港出身の父と、ベトナムから難民として12歳の頃にオーストラリアに家族で渡ってきた母を持ち、彼自身はもちろんオーストラリアで生まれ育った「オーストラリア人」です。

 

 彼は、家の中は非常にアジアンな価値観、といってました。

 

まとめ

 

そんなわけで、今日も最後はダラダラになってしまいましたが、これからも患者さんやその家族にとって信頼できる「外科医」であると同時に「信頼できる部下」そして「信頼できる上司」として日々精進していこうと思いまーっす。

 

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Choldren's Hospital at Westmeadのメインエントランス。正式名称はRoyal Alexandra Hospital for Children。 らしい。

 

 

オーストラリア臨床留学への道④ ~ Being in the right place at the right time~

MPHの学生から臨床フェローへ

シドニー大学でMPHを始めたところから、1年後にシドニーの小児病院で念願の臨床フェローを始めるに至った最大のポイントは、

 

I was in the right place at the right time.

 

ということです。

 

つまり、簡単に言えば、「運が良かった」ということになります。

 

これだけではとりとめもないので、もう少し詳しく書いていこうと思います。

またもH先生の導き

2017年末に渡豪し、2018年2月からシドニー大学で学生生活をスタートさせていた僕は、以前も書いたように、次の年にメルボルンのMonash (またはRoyal Children's Hospital)で臨床フェローを始めることを目標に、まずは英語を磨きつつ、なんとか時間を見つけてメルボルンに通い、Monashのスタッフとの交流を深めて、なんとか採用してもらえるようやれることはとりあえずやっていこうと考えていました。

 

そんな時、またもボストンのH先生からメールをいただきました。

「シドニーで今年から小児外科の臨床フェローを開始した日本人の先生がいるから会ってみたら?」と。

 

なんと!はい、もちろんです!是非お会いしたい!

 

ということで、まさかこのシドニーで臨床、しかも小児外科のフェローをやっている先生がいるなんて知らなかったので、青天の霹靂でしたが、とにかく連絡を取ってお会いすることになりました。

 

S先生との出会い

S先生はこれまた独自のルートでシドニーにたどり着いた方で、非常に行動力のある先生でした。

 

日本で外科後期研修を終え、国内の小児病院で1年弱、小児外科臨床を行なった後、なんと南アフリカの病院で無給で小児外科の臨床フェローを1年間やっていました。

 

S先生が言うには、南アフリカのボスからシドニーのボスへ推薦状を送ってもらったところ、今回のシドニーのポジションが決まった、と言うことでした。

 

これはコネづくりの一つの方法だと思いますが、彼の場合は、無給で英語圏の病院で働き始め、そこからのコネで新たなポジション、もちろん有給、でゲットという道でした。

 

基礎研究からスタートしてその後そこのボスのつてで臨床へ、という話もあると思いますが、それに似たパターン、というか、とにかく最初はどんな形でも良いから臨床ポジションにつながるパイプを持っているボスの下で働く、ということだと思います。

 

とにかく、S先生を通じて、シドニーにも小児外科臨床フェローポジションがある、ということを知ったのでした。しかもS先生の話だと、とにかく規模が大きな病院で日本では考えられないような数の症例をこなしていると。

 

しかもしかも、次の年のポジションの募集がそろそろ始まる、とのこと!

まずはS先生から小児外科のボスに僕の存在を話してもらい、僕からもそのボスにメールして、まずは見学させてもらいに行きました。

 

H先生がS先生を紹介してくれていなかったら、そしてそもそも、S先生がシドニーに来ていなかったら、シドニーにも可能性があることすら知る由はなかったので、この出会いに本当に感謝でした。

 

見学から採用面接、、、結果は、、、、

 

結局、2日間だけでしたが見学に行くことができました。その時に部長のDr.Thomasと話をさせてもらい、「来年の臨床ポジションに興味がある。日本では小児外科専門医まで取っている。」ということを伝えさせてもらったところ、2週間後に面接があるから受けろ、と言ってもらえたのでした。

 

その面接は、一般公募されていたものでしたが、シドニーのあるNSW州の医療者リクルートサイト(これについては別の記事で紹介しているので参照してください)からしか募集要項にアクセスできないので、教えてもらわなければ決して知ることはなかったと思います。現に、日本にいる時に散々臨床フェローポジションを探してもシドニーにはたどり着かなかったので。。

 

 一度は落ちるも、再面接へ!

 ということで、急いでapplicationをsubmitして、2週間後、6月中旬に面接を受けました。面接自体は、まあ、手応えはあったようななかったような、と言った感じでしたあが、とりあえず結果を待つことになりました。

 

ところが、待てども暮らせども、面接の結果はきません。採用とも、不採用とも。

面接後も、毎週の勉強会に顔を出していたので、部長に思いきって聞いたところ、「いやあごめん、国内からの応募者に決まってしまったよ」と、不採用宣告を受けました。

 

ま、考えてみれば、このポジションは別にIMGs(外国人)用の枠でもないので、国内のトレイニーと競合したらそりゃ厳しいよな。と思っていると、部長からは、「人手不足だから、とりあえずもう一つフェローの枠増やそうと思ってて、あとはfundingの問題だけなんだよね。」と。要は、部長としてはもう一人フェローを取りたいが、それは病院側が給料を出してくれるかどうかにかかっていると。

 

そんな話を聞かされてはいたものの、それ以降特に進展もなく2ヶ月ほど過ぎた8月中旬、今度は「un

acredited registrar」の募集が始まりました。これは主に国内の、将来「acredited」を目指している人たちのためのポジションですが(ポジションの詳しい説明は過去記事参照)、なんとかポジションを取りたいという一心で、自分も応募を出しました。

 

ついに臨床フェローのオファーをゲット!

2回目の面接の際に、部長のDr.Thomasからは、「修士課程はいつ終わるの?いつから働けるの?」などの、採用に前向きとも取れる質問もあり、それに対して「12月くらいからは働けます」と答えた時の反応も、かなり良い感じだったので、今回は期待は持てるかな、という感じもありましたが、1年前のMonashの時を思い出し、決して期待しすぎず結果を待っていました。

 

すると、忘れもしない2018年8月28日の夕方。図書館で勉強中に1通のメールが。

実際のメールの一部が下の写真です。

 

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このメールを受け取った時、海外での臨床ポジションを目指してきたこれまでの3年間のことが走馬灯のように蘇ったのを覚えています。

 

結局は最初に応募したポジションで採用されたのでした。Fundingが確保され、一つ増えたフェローポジションに滑り込んだ形でした。

 

とにかく嬉しくて、妻や母、H先生ほか、それまでにお世話になってきた方々に片っ端から連絡しまくったのを今でも鮮明に覚えています。

 

運を掴むためにはそこにいなければならない

 

ま、突き詰めると「運が良かった」ということなのです。同じような趣旨を英語で言ったのが

 

Being in the right place at the right time.

 

なのです。

 

これは先日上司と話していて、彼が以前アメリカへSurgical  oncology を学びに言った時に、いろいろトラブルがあった末に、当初予定していなかった、もっとより良いポジションに入ることができて、そこで大きな経験を積むことができた、という話をしていた時に使っていた言葉です。

 

僕はこの言葉を聞いた時に、そこには「運」以上の意味があると感じました。

 

自分自身の経験を合わせて考えると、H先生がS先生を知っていたこと、そしてS先生を自分に紹介してくれたこと、そしてそもそもS先生が同じタイミングでシドニーにいたこと、など、運が重なったわけですが、でも自分がその時シドニーにいたのでこれらの点が線となり、臨床ポジションにつながったのです。自分が見切り発車で渡豪していなければ、何も起きなかったのです。

 

しかも、たまたま部署が人手不足で、正規の開始時期(2月)よりも早く働き始められる人を探していたタイミングで、大学院が11月に終わり次第働ける、という、いわば「そこにいたこと」のアドバンテージが採用に大きく影響を与えたのは明らかでした。

 

ちなみに、医師登録に異常に時間がかかり、結局働き始めたのは正規の開始日のほんの10日前のことでしたが、、、。

 

それはさておき、

 

まず行動を起こすこと、常に目標に向かって諦めずに前に進むこと、それによって、ある時ふと、巡り合わせのように不思議な出会いが訪れる。まあそもそも運というのは、引き寄せるものなのかもしれない、と、そんなことを考え始めたのはこのころからでした。

 

 

 

目標達成は出発点

そんなわけで、「海外臨床留学」を目標に設定してから3年余り、色々ありながらも、日本を出る頃には予想もしていなかったシドニーという地でポジションゲットに至ったわけでした。

 

目標達成といっても、これから臨床フェローとして何を学ぶか、が重要なわけで、そしてできれば2年、3年と残れるように、しっかりと働かなければならないので、「やっと出発点に立てた」という思いの方が強かったように思います。

 

「オーストラリア臨床留学への道」ということで4回に渡り経緯を書いてきましたが、これから臨床留学を考えている人の役に少しでも役に立てたら幸いです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オーストラリアで医療職に就く 知っておくべきオーストラリアの医療職求人サイト


オーストラリアで医療職を探している方へ

 

オーストラリアは、英語の試験さえ通れば、外国人でも比較的医療職につきやすい国です。

 

とは言っても、英語の試験と同じくらい高いハードルは、「職を見つけること」です。

 

オーストラリアで医師や看護師として働くための条件(IELTS,OETなど)について記されているサイトはいくつかあると思いますが、もう一つのハードルである「職探し」についてはなかなか情報が少ないかと思います。

 

はっきり言って、自分も日本からネットで探している分には、完全に到達できないようなサイトがいくつもあることを、こっちに来てから知りました。

 

今回は、このブログを読んでいる方で、医師に限らずオーストラリアで医療職(看護師、理学療法士、薬剤師など)について働くことに興味がある方の役に少しでも立てればと思い、下記のサイトを紹介させてもらいます。

 

検索の際の注意点

意外と盲点!AustraliaはBritish Englishなので、Pediatric ではなくPaediatric, Hematologyではなく Haematology です!

 

 

シドニーの属するNSW州の医療関係就職サイト eRecruit

nswjmo.erecruit.com.au

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eRecruitの実際の検索画面。公立病院などで募集しているあらゆる職種の求人情報が検索できます。

臨床ポジションや、看護師の募集もここで検索できます。僕が今いるポジションもここで募集してました。

 

2021年からNSW州の求人サイトが新しいものに変わりました。以下になります。

jobs.health.nsw.gov.au

 

はっきりとinternational fellowも募集していると明記しているポジションは少ないですが、興味がある方は問い合わせてみるのもいいかもしれません。

 

ちなみに僕のように、日本で専門医をとっていて、さらにこっちで経験を積む、というスタイルの場合は「fellow」や「unacredited registrar」と言ったポジションには入り込む余地があるかもしれません。まずは分野別に検索してみると良いでしょう。

僕のポジションがそうですが、「provisional fellow」というポジションはIMGsを前提としている可能性があるのでチャンスです。いずれにせよ問い合わせてみてください。

 

ブリスベンやケアンズのあるQLD州の医療職募集サイト 

https://www.health.qld.gov.au/employment/job-search

www.health.qld.gov.au

これはQLD州のもの

看護師の募集とかもよく載っている

フェローポジションは、「JMO campaign」と言った形で期間限定で出てくるのでこまめにチェックしとくと良い。

(確か去年は7月ごろだったかと思います)

これもちょこちょこチェックしていると良い募集が見つかるかも

 

VIC州のもの

 

まずはRoyal Children's Hospitalの就職サイト

 

それからMonashのもの 

monashhealth.mercury.com.au

 

Western Australia (Perthがある州です)のもの

medjobswa.mercury.com.au

 

 

 

 

実は探すといっぱい出てくる

以上のサイトは、僕自身もオーストラリアにくるまで知らなかったサイトです。

自分は臨床フェロー1年目の間に、2年目のポジション探し(結局同じ職場で採用してもらえたものの)をしていたので、その際にこのようなサイトをひたすら検索して応募しました。

 

もちろん、多くのポジションは圧倒的にオーストラリア人に向けてあると思います。

もしかしたら、rural areaの、あまり大きくない病院などの募集だと、レジストラや、あるいは看護師、理学療法士として外国人でもウェルカムのところがあるかもしれません。

問い合わせるのは無料ですし、失うものもないので、興味がある方は是非、上のリンクからいろいろ検索してみて、探ってみるのがいいと思います。

 

基本的に、オーストラリアは1月末から2月はじめにに雇用年度がスタートするので、多くの求人はその半年前、つまり6、7月ごろから始まることが多いようです。

 

それに加えて、臨時の募集などはもちろん通年で不定期に出てくるので、定期的にチェックしておくとよいかも。

 

あと、サイトによっては条件にあった求人が出た時にメールで知らせてくれるように設定できるものもあるので便利。

 

もちろんそれぞれの職種に、英語試験の基準やその他資格の縛りはあると思いますが、僕がやっていたように、日本からただ闇雲にググってポジションを探すよりは効率的かと思いますので、ぜひ試してみてほしいです。

 

コネのないところからコネを作る方法

コネのないところからコネを作る方法の一つは、とにかくどこでもいいから同じ業界に入り込む、ということです。そうすれば、わらしべ長者的に、コネが強まっていく可能性があります。

 

なので、このようなサイトから、とにかく職を見つけて飛び込んでみると、現地でしか知り得ない情報や人脈に出会い、その後の可能性も広がるかもしれません。