オーストラリアで医師として働くには
たまーにしか更新してないこのブログですが、ありがたいことに、オーストラリアでの臨床に興味を持った日本の医師の方々から問い合わせをいただくことが増えてきました。
こんな見ず知らずの僕にメールで質問をしてきてくれる先生方の行動力や本気度に大変感謝です。僕としては、知りうる限りのことをお伝えさせていただいて、ぜひ、その先生方の力に少しでもなれれば、と思い、対応させていただいております。
何人かの先生とやりとりさせていただいているうちに、みなさんが共通して持ってらっしゃる疑問について答える意味で、
「オーストラリア臨床留学のために知っておくべき基本情報」
について一度まとめておくと良いかな、と思うようになりました。web検索すると、大まかな規則を説明しているページはちらほらあるのですが、その情報から一歩進んで、
で、どこを目指せばいいの?
というところがはっきり書かれているページが少なかったので、
今回は、 超実践的な情報 になるように心がけて情報提供していきます。
兎にも角にも「AHPRA registration」!!!
まずは、オーストラリアで臨床医として働くための第1歩である「AHPRA registration」。日本でいうところの「医籍登録」みたいなものです。アメリカだと「ECFMG certificate」に相当するのかな。
オーストラリアで医学部を卒業した場合
ちなみに、オーストラリアは日本やアメリカと違って、「国家試験」はありません。
各大学の医学部卒業をもって(学位つまりBachelor of Medicine)、医師になる資格を得るという感じです。
で、そのあと1年間のインターンを経て正式に医師として登録されます。
オーストラリア以外の医学部を卒業した場合
で、僕らのような、オーストラリア以外の国で医学部を卒業した人たち(IMGs: International Medical Graduates)のために用意された'pathway'というものが別にあり、これが複数あるため厄介なのです。
ということで、僕自身のモチベーション維持のために、これから数回に分けて書いていく内容を先に宣言しておきます!
↓
「オーストラリアで医師として働く方法」
1. 総論 ~ オーストラリアで医師として働くためには複数の"pathway"があるという話
2. 短期(最大3,4年)だけ、つまり臨床留学、その後は日本に帰る予定の場合
3. もっと長く(つまり5年以上)いたい場合
4. 今からできることリスト
これから数回の記事を通して、オーストラリアで医師として働くことを考えている方々に、「大まかな地図」を手にしていただき、「今やるべきこと」をクリアにしていただけたらいいなと思います。
ということで、総論、と題した今回は、オーストラリアで医師となるためにはどんな過程を通る必要があるか、という話です。
今回で、ファクトベースでまずオーストラリアのルールを理解してもらった上で、
次回以降は
- 短期の臨床留学を目的としているのか、
- それともできるだけ長くオーストラリアにいるつもりなのか、
- 専門分野は何か
などなど、現状や将来のプランによって変わってくる可能性があるアプローチ方法についてそれぞれ別個に書いていこうと思います。
で、④では、んで、結局どうやってポジションを見つけるか。という話です。詰まるところコネを作るしかないわけで、コネについて、僕の個人的経験と独断に基づいて幾つかの方法を考察しました。
オーストラリア医師登録総論
'pathway'とはなんぞや?
何か新しいことを始めるときには、まずはルールを知ることから。これ、後々後悔したりしないために重要です。
オーストラリアにおける医師登録を管轄している「AHPRA」という期間が、この「ルール」を決めています。下記のリンクに書いてあることが全てです。
AHPRAウェブサイト
外国人医師がオーストラリアで医師登録するための方法が書いてあります。
↓
https://www.medicalboard.gov.au/Registration/International-Medical-Graduates.aspx
このウェブサイトに書いてあることを隅から隅まで読めば、ルールはわかりますし、それぞれの立場で、目的に合わせて、どの’pathway’を通れば良いのかを選んでいくことになります。
とは言ってもいきなりこのページだけ読んでもややこしくてわかりにくかったりするので、噛み砕いて解説してみたいと思います。。。。。
と思ったら、メルボルンで臨床をされていた先生の、とーーーってもわかりやすく書いてあるページを見つけましたので、以下にシェアさせていただきます。
なんてconprehensiveでわかりやすい解説なのでしょう。これ以上に分かりやすい解説はない、とは思うのですが、
僕は「ざっくり」、これから留学を考えている方々の目線から見て、このシステムをどう捉えたら良いか、ということを説明しようと思います。
結局どうすれば良いの?
ざっくり言ってしまうと、
日本での臨床経験(専門医の有無)
と
将来のプラン(移住も視野に入れているのか、短期留学なのか)
という二つの問いに対応して、通るべきPathwayが決まってくると言っていいと思います。
ということで、今回のまとめの図↓
まとめの図なのに分かりにくくてごめんなさい!
この図のように、
専門医の有無でまず道が分かれます。
次回以降に、右の二つのPathwayについては詳しく解説していきます。
なので、最後にStandard pathway(専門医を持っていない場合)について補足します。
専門医を持っていない場合は、
AMC MCQ
という試験 (いわゆる国家試験的な)に受かってStandard PathwayでGeneral registrationを目指していくことになります。
AMC MCQに合格して、働き先が見つかれば、この時点でオーストラリアでの医療行為ができます。
AMC MCQ合格から、General registrationの間は、大体1、2年のプロセスで、
診療経験を「supervised practice」という形で積みながら、その前後で
AMC Clinical assessment
という試験(OSCEとか、USMLE STEP2CS的なやつ)に合格する必要があります。
このAMCの二つの試験については、また機会がある時に書きたいと思います。
(実は今こっそり受験準備中です。)
全部書くとややこしくなるので図には盛り込みませんでしたが、
「とにかくオーストラリアに移住する!もしくはそこまで行かなくても、なるべく長くいたい!」
という人には、専門医を持っていても、実はStandard Pathwayが近道になる場合もあります。
なぜなら、
General Registration = Permanent Regidency (永住権)
だからです。
本シリーズの③で詳しく話そうと思いますが、GP、またはspecialistとしてオーストラリアに腰を据えていこうと考えると、それなりに長い道のりです。早い段階で永住権を取っておくことは、医療保険(Medicare)や、public schoolの学費など、ビジネスビザでは補助されない部分がカバーされるので、経済的もかなりかわってくるとおもいます。毎年毎年のビザ更新でもお金が吸い取られます(泣)。
ま、その辺はまた今度詳しく。
ということで、また来週!